その頃、バイク倦怠期だった。バイクに乗っていても以前ほど楽しくなく、ほとんど乗らなくなっていた。 ただ、駅までの通勤にはスクーターを使っていた。しかし、治安が悪く、簡単なイタズラや部品の盗難はよくあった。遂にスクーター自体も盗難に遭ってしまった。幸い、盗難保険が効いていたので、同じスクーターが戻って来た。
それでも変わらずスクーターでの通勤をしていたのだが、ある日、メットインボックス内のヘルメットが盗まれてしまった。鍵を開けられたことはショックで、得体の知れない人間に、私生活をこじ開けられた様に薄気味悪く感じた。ここでバイク変える決意をする。 カブ90に乗って感じたのは、スピードは出るがブレーキが効かない。特に前のブレーキは強く掛けると、最後に持ち上がるので、止まった気がしなかった。ディスクブレーキのスクーターから乗り換えたので、特に違和感を覚えた。危険を感じて直ぐに任意保険に入った。
乗り出してみると、なかなか面白い。バイク倦怠期だった私を楽しませてくれた。高校生の頃に、初めてバイクに乗り出した時の感じに似ている。何をやるにも、ちょっぴり冒険的なところが、わくわくさせてくれるのだ。大嫌いな街乗りも楽しめるようになった。
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