99/7/23 東北ツーリング 4日目  戻る

十和田湖→黒石→相馬田代林道→能代→鳥海山・鉾立→羽黒山

 朝から雨である。 ザーザーと、テントに雨が当たる。 天気予報をチェック。昨日の予報より悪くなっている。昨夜の予報外の雷雨も、その影響のようだ。梅雨末期は天気が読みづらい。雨に日の撤収は気が重い。ここのキャンプ場は静かでキレイで、もう1泊沈殿したい気持ちが、肥大する。「ここで、一日ごろごろして、夕方、もし雨が上がったら、蔦温泉に行く。」そんな一日が、たまらなく魅力的で、誘惑に負けそうになるが、「この小さなテントでごろごろしているのは、辛いだろう。西に行けば、昼には晴れるだろうし。こんな雨など、走りだせばなんてことはないぞ!」と盛り返す。
 テントから顔を出して、周りを見渡すと、テントの中で感じるほどは、雨は強くはない。 隣の2人組は、なにやら、悲惨な状況。夕方、こちらが荷紐を張ってタオルなどを干していたのを真似て、トレーナーやジャケットを干していたのだが、放置されたまま雨に打たれてビショビショ。外にシートを敷いて夕食&宴をやったようだが、片づけされないままに、雨地獄。シートに溜まった雨水に、トイペが溶けかかっていたりする。 その悲惨さが、ちょっぴり嬉しい >>> ヤな性格のオレ。 結局、お隣さんとは、一言も交わさなかった。 「よし、出かけよう。雨の日の方が、涼しくていいだろう。」 無理矢理、気合を入れて、撤収。

 6:30宇樽部キャンプ場発。たいした雨ではない。昨夜の雷雨で、道路に被害がでていないことを願う。走り出して直ぐに、リザーブになる。うーむ…。昨日、十和田湖で給油しようと思っていたのだが、次の町までは大丈夫だろうと甘い判断をしてしまった。奥入瀬とか走って、ガソリンを使ってしまったようだ。これから、山岳路だし、まだ時間が早い。大丈夫か? 十和田湖の外輪山を反時計回りに走り、湯ノ沢峠から黒石へ向かう。雨の山岳路。ゆっくり走る。ガソリンが心もとないと、普通の山岳路も、かなりの坂に思えてくる。外輪山を越えれば、下り気味の平坦な道なのだが、気が付けば、ガソリン計は、empty をカツン、カツン。やばー。小さな集落があり、小さなGSもあるのだが、まだ開店してない。先は読めないが、先へ進んだ方がいいと判断して、止まらずに進む。こりゃ、ダメかも知れないと、脳裏を横切る。 あーだめ、もーだめ、う〜 って頃に、前方に光り輝くGSが見えた。助かった…。4.0リットル入った。(カブのタンクは4.0リットルである) ま、自分の判断は正しかったってことか。(^^;) 通勤車が、だいぶ増えてきた。 ここから岩木山方面へ向かい、岩木山の南を相馬村→西目屋村を抜けて林道に入る予定である。しかし、黒石あたりは、市街地で道の交差も多く、ローカルな地名標識はあるのだが、どこを指してしるかが分からない。雨も強いし、雲が低くたれ込めて、山際が見えない。目標としていた岩木山が、何処にあるかも分からない。気がつくとR7に合流しており、なんとかアップルロードに入る事ができた。
 あの時も雨だった… 97年の秋には、対向車線を、雷雨に打たれながら走ったのだ。あの雨は強烈だった。前輪が跳ね上げた水がレッグシールドに当たって、だいぶパワーが食われた。岩木山を眺められないのが残念だ。

 相馬村から、細い道を入っていくと、期待の林道へ。通交止めの看板があるが、バイクならなんとかなるかもしれぬし、ダメなら戻ればいいと、先へ進む。雨は小降りになった。雨の林道は、結構楽しい。土煙はないし、水たまりがあろうがなかろうが関係ない。深々としたブナの森は、しっとりと濡れて綺麗である。飛ばそうなどという気にはならず、ゆったりと走る。走る車は、皆無。東北の林道は、生活道的に使われていて、思いの外、車が走っている。車が通らないってことは、本当に通交止めのようである。(って、看板通りなのだが、それを信じていない、オレ)
 最初の峠に至る途中に、路肩崩落箇所があった。確かに、ジムニーでも通過はできない状態。慎重に、山側ぎりぎりを通過した。なんだ、楽勝じゃないか。(^-^) 通交止めを通過できて、ひとり、得した気分。
 9:10最初の峠。雲行きは怪しいが、雨が上がったので、上のカッパだけ脱ぐ。下りは快調。雨がまたポツポツ降ってきて、上のカッパを着る。 下る一方であり、何か違和感がある。記憶では、そんなに下らずに、いくつかの峠を越えるはず…。かといって、林道途中に分岐はなかったし… まぁ、このまま進むしかないけど。 と、前方に、法面の崩落が見えてきた。「げっ、ここからUターンか?」…「大丈夫そうだな。ガンガンと木の上を通過すりゃOK! 木も2本しかないし。」

こんなの楽勝? 赤い棒が路肩の印
 さすがにカブでは、乗ったままってのは無理なので、エンジンを掛けた状態で押していく。しかし、楽勝と思われた木が、とてもやっかい。 直径10cm程度の木など、屁でもないと思えたが、地面から浮いている上、カブが乗ったくらいでは、しなってくれないのだ。前輪を通過させたはいいが、木がカブの腹に入って、シーソー状態。アクセル開ければ、後輪が浮いて、空転するばかり。これは、前後にゆすってタイミングを合わせ、勢いで通過するしかあるまい。 タイミングを合わせて、アクセルをちょいと開けると、後輪は前へ進む。追従すべく前に送った左足が、木に引っ掛かり、つまずく。 身体は、前につんのめり、倒れそうになる!  腕に力が入る!! アクセルが、ガバァーっと全開に!!!  ヒヒーン! と悲鳴をあげたカブは、命を与えてくれた右手をも振り解き、見事な一人ウイリーを見せてくれた。カブは、跳ねて、木を越えた… 
 カブは、綺麗な着地をして、左側へ倒れた。左側には土砂の山があった上、右足を繰り出して起死回生をもくろみながらも、荷台の荷物に押し倒されたオレ(^^;)がクッションになって、カブにダメージはなかった。 しかし、カブが上空から着地したため、ブレーキペダルとクラッチペダルの根元に、太さ5cmくらいの枝が引っ掛かっているのだ。前に押せば、ブレーキがかかるし、アクセル開けても。クラッチが切れていて後輪が回らない状態。柔そうな枝だが、手強い。手を離してもカブは自立しているし、生木で折ろうにも折れない。かなりしなった状態で食い込んでいるので、ちょっとやそっとじゃ、外れてくれない。かなりのピンチであることに気付く。なにより、もう後戻りしようにもできないのだ、進むしかないのだぁ。
 見れば、ペダルに引っ掛かっている枝以外に、センタースタンドや、泥よけ、サスペンションなどにも、枝が引っ掛かっている。足で踏んづけたり、ああでもないこうでもないと悪戦苦闘して、なんとか枝地獄を抜け出した。だいぶ時間がかかった。実は、路肩の端が、直ぐそこであったことに気付く。変な事をすると、十数メートル下の谷底へ落ちてしまう可能性もある。
 前輪を2本目の幹を通過させると、前輪がゴチャゴチャした枝に乗ったため、シーソー状態にはならない。これなら、勢いをつけずともアクセルで乗り切れそうだ。ゆっくりと後輪を回すが、濡れた幹に当たって、空転するだけで、越えるまでは行かない。何度か繰り返してもダメ。徐々に、アクセルを開け気味にしていく。と…、突然、後輪が空転しながら幹に沿って横滑りし、カブが谷側へ逃げていく。ヤバイ!!! とっさにアクセルを戻すが、こちら側にあったカブの重心が、ふっと抜けて、向こう側にかかった。すっと、血の気が引く。 く、く、くー! カブのシートの横に、谷底を流れる轟々とした泥流が見えた。
自分も谷に落ちそうになり、手を離す。カブだけ、谷底の川へ落下。自分は助かり、歩いて町に出て、ヘルメットだけ持って列車で帰る。そんなシーンが、走馬燈高速回転で脳裏をよぎる…
く、くーぃ!!!  はぁ、はぁ、はぁ… な、なんとか、持ちこたえた… はぁ、はぁ… しばらく、へたりこむ。
………………………………………………
 気を取り直して、さらに慎重に突破をはかる。幹を乗り越えた後は、ガツガツと力で乗り切った。 楽勝どころではなかった。何事もなく終わったのは、幸いだ。しばし、呼吸を整えてから、さらに下って行くと、完全に麓まで出てしまった。???。雨も上がったので、カッパを脱ぐ。ついでに地図を出して、確認。---全然違うところを走っていた。走った林道は、相馬田代林道で、日本海側へ抜けるつもりが、内陸を南下した感じだ。 雨ということもあり、地図を出すのが億劫で、記憶と勘に頼って走ったわけだが、ダメダメだった。ま、未走の林道を走れたので、良しとしよう。 教訓:雨でも地図はこまめに確認。危険箇所は、荷物を下ろせ。 そう、無精はいかんのである。

 田代からR7を西へ。前方の雲行きが怪しく、直ぐそこまで雨が降っているよう。丁度、『道の駅−鷹巣』があったので、トイレ近くの屋根のある場所にカブを止める。その瞬間、強い雨が降り出した。危ない、危ない。かなりの人数が、トイレで孤立状態になった。雨が弱まるのを待って、カッパを着て走り出す。

 能代手前で、雲をぬけ、空は青空。夏の空。あまりの暑さに、乾かす間もなくカッパを脱ぐ。先ほどまでの、ジットリした気候が嘘のようだ。青い空、青い海、白い雲。能代から、南下。寒風山に寄ろうかとも思ったが、雲を被っているし、暑いしで、パス。
 12:00『道の駅−琴丘』。暑さにたまらず休憩&水分補給。カブをチェックすると、レッグシールドの丸いプラグ穴の蓋がなくなっていた。ウイリーしたときにナンバーを打ったらしく、ナンバーの一部が曲がり、ステー自体も曲がっていた。車体のあちこちに、擦り傷が多数ついている。曲がったクラッチペダルは、力で直した。

 13:30秋田。メール&HP更新すべく、パチンコ屋の駐車場へ。東北のパチンコ屋には、グレ電の電話ボックスがある確率が高い? 荷を解いているだけで、汗だくだ。しかも、通信が上手くいかない。よく見たら、電話器のコネクタが、異物を入れられて破壊されたようで、接触不能。最悪〜! パッキングして、も一度、やり直さねばならない。モバギにバックアップ電池の警告が出てて、今までの不審な動きの理由に気が付く。電池蓋の押さえが悪く、主電池の接触が悪いのだ。主電池断の状態が多々あって、バックアップ電池を消耗しているのだ。バックアップのリチウム電池が切れれば、主電池の交換もままならず、全てのデータを失う可能性は高い。電池蓋裏に、レシートを折って入れて押さえにして、振動を与えないように、ベストの腹の部分に入れて移動。 次も、パチンコ屋でチャレンジ。こんどは、メール&HP更新に問題なし。通信するだけで、どっと汗をかき、疲れた。
 猛暑の中、R7を南下。鳥海山が凛々しい。14:32『道の駅−西目』281km。脱水症状的な疲労が出て来たので、休憩&水分補給。リチウム電池が売ってそうな店は、なかなか無い。  暑いときは、山! ということで、鳥海山ブルーラインを上る。高い金を払って走った記憶があるが、無料開放されている。海沿いの山は、気持ちがいい。飛行機のような形をした、飛島が見える。

鳥海ブルーライン
15:47鉾立323km。標高1000mまで登ったのだが、それでも暑い。下りは、軽快に飛ばすが、直ぐにノロノロ運転の○トカーに追いついてしまった。乗っている人数や、車内の様子から、出張に来たお偉いさんを観光案内しているようだ。ウインカーを出されて、先に行かされる。捕まえる気はないだろうが、ブラインドカーブまでスピードを守り、その後は、突っ走る。かなり下りた所の温度表示が、34度。暑いわけだ。

 R7からR354へ。途中、ムサシというDIY店発見。リチウム電池の型番がわからず、モバギを持ち込み、精密ドライバーを借りて確認した。データ消失の恐怖から、2個購入。 羽黒山へ向かう。走りながら、明日は月山に登ることに決めていた。今日は、麓のキャンプ場が目的地。羽黒山の西側の道を南下。汗をかいたので、温泉にでもと思ったが、日帰り入浴できそうでなくて、素通り。

鳥海山
 羽黒山近くになると、雰囲気ががらりと変わる。道沿いにある幾つかの宿坊では、たくさんの白装束の人々が整然と正座して、講釈を聞いたり、経を上げているのが見られる。辺り一帯が、きりりとしている。

 17:38羽黒山休暇村キャンプ場着394km。今日は暑かったせいか、かなり疲労した。このまま、溶けるように横になりたいが、ガソリンを入れるタイミングを失ってしまったため、給油には行かねばならない。キャンプの受付は、休暇村の宿泊施設だった。絨毯敷きの小綺麗なロビーには、浴衣姿の宿泊者が多数くつろいでいて、土足で入るのがためらわれた。受付のネエちゃんに、キャンプはいくら?って聞くと、フリーキャンプ場は500円ということだった。(オートキャンプ場もある) 安いでないの、と思って受付票に書き込んだら、「では、テント持ち込み料1000円になりますので、1500円です。」と、宣われた。先に言えっちゅうの。かといって、他のキャンプ場というワケにもいかないので、別にいいのだけどね。
 キャンプ場は、空いていた。1台の、愛された生活をしてそうなカブ50が停まっていて、横に真新しいドームテントが張られていた。 うーん、実に、カブ魂を見てそう。オレのこと、知ってそう。 疲れていたせいか、"オレの事を良く知っている初対面の人"の相手をするのが煩わしく思えて、意識して避けてしまった。かなり離れた、キャンプ場の片隅にテントを張った。一度、水場で、挨拶しただけで済ましてしまった。すまぬ、同志よ。すまぬ…  ホームページの弊害だなぁ。
 くつろいでしまうと動けなくなりそうなので、給油とビール等の買い出しに、R47清川まで行く。だいぶ暗くなってきた。やはり、温泉が気になって、草薙温泉まで行くが、時間も時間なので、入浴はパスした。濁流と化した最上川が、滔々と流れる。梅雨明け近し、最上川。

 18:22キャンプ場着。冷たい水で、身体洗って拭いて、ビール飲んで、スッキリ。明日は、まあまあの天気か。たまたま回した、NHK教育TVをだらだらと見てしまった。明日は早いし、疲れたので、早めに寝る。

 走行439km  キャンプ代:1500円


つづく